ポケットから逃げるスマホ、ついに製品化「ランナウェイPhone」発表

 

「落とす前に私が落ちる」。そう宣言して登場した新スマホ「ランナウェイPhone」は、置き忘れ防止のため本体が自律的にユーザーから距離を取る画期的ガジェットだ。机に雑に置くと、内蔵キャスターが伸び、時速3キロでそっと離席。追いかけるあなたの心拍を測って健康アプリに記録、運動不足も同時に解消できるという合理性(皮肉)を備える。

さらにAIが空気を読み、会議中にSNSを開こうとすると本体が深呼吸してから「それ今必要?」と通知。必要だと主張すると、証拠書類の提出を求められる厳格設計だ。迷惑電話は逆にかけ直し、相手に「今お時間大丈夫ですか?」と聞き返して5分ほど雑談してから着信拒否にする。

バッテリーは100%から減らず、代わりにあなたのやる気が%表示で減る独自UIを採用。充電器は「心のコンセント」と呼ばれ、箱には入っていない。別売の「説教スタンド」に立てかけると、角度に応じて人生アドバイスの長さが増える。

開発元は「スマホとの適切な距離感を取り戻すための一歩」と説明。記者が「逃げられたら困る」と問うと、端末は静かに出口へ。会場のWi‑Fiだけが、その背中を見送っていた。