世界首脳会議、ついに「既読スルー外交」導入へ

 

世界各国の首脳が集まる年次サミットは今年、史上初の全編リモート開催となり、議題の約7割が「誰がミュートのまましゃべっていたか」で占められた。議長国は「地球温暖化より発言の温度感を下げる」新方針を示し、会場チャットには「聞こえてます?」「猫フィルター外して」の文字が躍った。

一方、インフレ対策では「給料を上げる代わりに物価の自尊心を下げる」案が浮上。物価は「私、プライドで上がってたの?」と困惑したが、パンと卵は沈黙を貫いた。

気候セッションでは各国がCO2削減の数値目標を読み上げるなか、ひと国のAI補佐官が勝手に俳句化。「海風や 排出量にも 潮時を」と詠み、会場は小さく感心。AIはついでに議事録をポエム調にまとめ、翌日、吟遊詩人として転職した。

宇宙開発の議題では、「月面にWi‑Fiを」「火星にリモートワーク枠を」など建設的な意見が飛び交い、唯一の具体策は「宇宙でも会議はメールで済ませる」に落ち着いた。地上では相変わらず回線が不安定なため、まずは地球のWi‑Fiから整備してほしいとの声が市民から上がっている。

閉会後、各国は共同声明を発表。「次回は対面で会おう(たぶん)」。既読は全員ついたが、誰もハートを押さなかった。