各国首脳、会議をメタバース化 靴下の柄で国益が揺れる

 

世界各国は最新の国際会議をメタバース上で開催した。移動費削減と地球に優しいを掲げたが、結果的に一番削減されたのは各首脳の現実感だった。各国代表は好みのアバターで入室し、英仏独は無難にスーツ姿、日本はなぜか盆栽を背負う忍者、南米連合はサンバで入場、北欧は羊毛セーターの質感に異様なこだわりを見せ、議題は開始5分で「影の落とし方」に逸れた。

議長は秩序回復のため“靴下の柄以外のカスタムは禁止”と宣言。しかしこのルールが逆に外交を熱くした。星、ストライプ、雪の結晶、唐草模様が渦巻く画面で、関税より先に靴下の互換性協定が交渉される事態に。匿名の外交筋は「足元から関係改善が始まるのは理にかなっている」と足を組み替えつつ語った。

通信トラブルも国際問題化した。重要採決の瞬間、半数がフリーズし、残った参加者で可決された議案は「昼寝の権利を午後2時に保証」。後から再接続した各国は異議を唱えたが、議長は「寝ながらでも反対はできる」と押し切った。

閉会後、声明はAIが自動生成したが、微妙に誤変換され「気候危機への大胆なアプリアップデート」を約束。地球は再起動を求められていない。とりあえず次回は現地開催が検討されているが、候補地はWi-Fiが強い場所だという。