忘れ物フェス、今年のグランプリは「骨のある折りたたみ傘」
県北の栃ノ原町にある道の駅で、毎年恒例となった「忘れ物フェス」が開催された。駅の案内放送を止めてまで行われた目玉企画は、落とし主が現れない忘れ物たちによる“自己PRステージ”。参加資格は「30日間、誰にも思い出されなかったこと」。切ないが観客は笑顔だ。
今年のグランプリに輝いたのは、風速10メートルでも折れなかったという折りたたみ傘。「骨はしっかり、記憶はうっすら」と渋いキャッチで票を集め、名誉駅長(仮)に任命。翌日、意気揚々と改札に立つも、雨が降らず初日から休憩に入った。
準グランプリは左右が逆の手袋。観客の「君こそ運命の左手」という声援が刺さったという。会場の片隅では、マフラーが静かにアコーディオンを弾き、スマホ充電器が自らを充電しようとして係員に止められる一幕も。
司会を務めた町のゆるキャラ「ハンコウくん」は、押されると否認する性格で段取りが遅れたが、それも味。主催者は「持ち主が名乗り出たものはその場で再会式。名乗り出ないものは来年まで特訓」と語った。なお、昨年の王者・未開封の梅干しは、今年も賞味期限内で元気だったという。
