昭和で走る新型車両「SR-昭和れと郎」、10円玉で発車

木魚峡鉄道は本日、昭和家電で統一した新型車両「SR-昭和れと郎」をお披露目した。動力は電気だが、車内設備はラジカセ、ブラウン管、そして行先表示はフリップ式カチカチ。発車は運転士がちゃぶ台をパンッと鳴らすと同時に、車内のカセットテープが「次は木魚峡〜」とやさしくアナウンスする。

運賃は10円玉専用で、両替機は駄菓子屋式の木箱。ICカードは未対応だが、代替として乗車券に消しゴムスタンプが押される。車掌は鉛筆でテープを巻き戻す資格保持者で、採用試験では「早巻き」「静音巻き」「泣きのA面」三種の技が課されるという。

安全面について同社は「ちゃぶ台はJISちゃ規格の耐震品、ラジカセは早送り時に非常ブザーとして運用」と胸を張る。沿線の駅弁は固めプリンと三角サンド、ホームのベンチは公園から譲り受けた昭和体躯。初日は鉄道ファンが「この匂い、実家」と涙し、地元の子どもは「巻き戻しってどこにあるの」と首をかしげた。なお、最終列車はカセットB面。裏があるのがこの鉄道の矜持らしい。