海風に舞うのは踊りかWi‑Fiか?岬町「無人盆踊り」開幕

 

日本海に面した岬町で、今年の盆踊りはまさかの参加自由・参加不要。「無人盆踊り大会」と銘打たれ、会場には人影の代わりにスピーカーとドローンだけが集結した。主催する観光協会によれば、「人手不足と人見知りの両方に優しい新様式」とのこと。輪になって回るはずの列は、プログラムされたロボ掃除機が担当し、曲に合わせて微妙に加速。踊りのキレは抜群だが、たまに段差で反省会に入る。

屋台はセルフ方式で、焼きそばは自動返し機が豪快に裏返し、たこ焼きはAIが「心の声」を推定して勝手にマヨネーズを二度がけ。来場者の最高記録は、通りすがりの犬一匹と、海から上がってきたカモメ二羽。なおカモメはクレジットカードに未対応で、スタッフ(留守番電話)が悲鳴を上げた。

夜空にはドローン提灯が浮かび、和太鼓の音源が風に乗ると、近隣住民からは「家にいながら夏を感じられる」と好評。一方で町内放送が誤作動し、「踊れ、いや休め、やっぱ踊れ」と指示が二転三転したため、ロボ掃除機は過労で充電所に逃亡した。

観光協会は来年に向け、「少なくとも司会だけは人間で」と前向き。盆が空回りしても、町は妙に回り始めている。