漬物が速すぎた朝市、観客まで浅漬けに
山あいの町・湧水町の朝市で開催された「スピード漬物グランプリ」が、予想を超える白熱ぶりで話題だ。制限時間は砂時計一杯、材料は地元のキュウリと謎の井戸水、味付けは“勘”。優勝したのは、漬け込み開始から46秒で食感と涙腺を同時に刺激した町内会の佐々木さん(68)。審査員は「たくあんが未来を見た」と評価し、意味は誰にも分からなかった。
会場では応援の掛け声が「押して!揉んで!揺らして!」と分刻みで進化。観客の一人はうっかり漬け桶に肘をひたし、「なんか人生がカリッとした」と感想を述べた。主催者によると、計時は太鼓担当の庄屋さんが気分で打ち鳴らす方式。「正確な不正確さがうちの味」と胸を張る。
表彰式ではトロフィー代わりに巨大な梅干しが贈呈され、重すぎて受賞者が3回ほど転がるハプニングも。来年は「無音の沢庵部門」新設が決定。静けさで勝負するため、会場の案内は全てジェスチャーになる予定だ。町は「音の出ない美味を世界へ」と意気込むが、まずは砂時計の補充が急務らしい。
