猫専用横断歩道、開通初日から大渋滞 人間も譲り合いで右往左往
泡沫町商店街に今朝、「猫専用横断歩道」が開通した。ひげセンサーが反応すると信号が「にゃー青」になり、スピーカーから小さくゴロゴロ音が流れる最新式だ。ところが初日から、人間が列を作った。「猫の気持ちになってみたくて」と四つんばいになる強者まで現れ、交通課は「猫確認に時間がかかる」と困惑気味。
最初の通過を任された地域の看板猫・コロッケ氏は、信号が青になっても動かず、近所の魚屋のトラックが来るのを待つ徹底派。「せっかく青なので」と横で人間が先に渡り、ルールが一瞬で崩れかけた。
町長はテープカットで「人も猫も安全第一」と挨拶したが、テープにじゃれついた仔猫が演台にダイブし、拍手が歓声に変わる。商店会は早くも「猫優先割」を導入し、渡り終えた猫にちゅーる一本進呈。観光課は「滞在時間が延びる」と経済効果に期待する。
一方で犬派からは「うちの子は一生赤」との声。町は来月、「ワンワン待避所」と「カラス用空中歩道」も検討中だという。夕方には通勤帰りが混み、横断歩道は猫のあくびラッシュ。交通課は「にゃん語講座」を開講し、指導員は発声練習で喉をやられた。
夜、コロッケ氏はついに優雅に一歩。周囲は静まり、信号がまた青になった。誰もが見守るなか、彼は横断の真ん中で座り込み、星を見上げた。町は今日も平和だ。
