発車ベルが歌いだした日—地方私鉄、AI復元で駅全体がカラオケ化
地方私鉄「山背(やませ)電鉄」が旧国鉄時代の発車ベルをAIで復元したところ、駅構内のスピーカーがなぜか合唱機能を学習し、朝ラッシュに全ホームでハモりはじめる事件が発生した。通勤6時台はソプラノ、7時台はゴスペル、終電前は涙腺にくる演歌アレンジと、時間帯でジャンルが変わる仕様になったらしい。
駅長は「想定外の和声進行です」と困惑しつつも、「乗り過ごしても二番が良い」と評判は上々。車内アナウンスはテンポに合わせて早口になり、車掌の“閉まりまーす”がサビでフェードアウトする芸の細かさだ。
一方で「ホームで口笛を吹くとAIが勝手に転調する」との苦情も。鉄道ファンは「Aメロ終わりで入線する臨時列車、泣ける」と号泣。音楽大学の教授が録音に来たところ、AIが気を利かせてバッハ風に。教授は「和声課題が一本で完結した」と喜んだ。
昭和の記憶が濃い地元商店街は、ベルに合わせてシャッターを開閉する「時報商店街」を開始。観光客が増え、駅前の立ち食いそばは“転調かき揚げ”を新発売した。なお、踏切の警報器まで合いの手を入れはじめ、警視庁から「ノリは良いが注意喚起は平常運転で」と指導が入ったという。
