砂時計市、時間逆流フェスで遅刻が間に合う奇跡続出

砂丘に囲まれた砂時計市で、今年初開催の「時間逆流フェス」が開幕した。合図は巨大砂時計の一斉ひっくり返し。途端に商店街では「時差セール」が始まり、値札は午前中だけ昨夜の価格に戻り、店主の記憶も少し戻って「誰でしたっけ?」と常連に聞き直す事件が続発した。

役場は「昨日の回覧板を本日配布」方針を宣言。駅前広場の時計はうっかり逆回しされすぎ、待ち合わせは“10分前集合”が本当に過去へ。遅刻常習の高校生は「初めて間に合った」と感涙。ただし校長が朝礼を巻き戻し続け、同じ注意が2.5回再生される無限ループの危機も。

屋台の名物「巻き戻し焼きそば」は、食べ進めると麺が生に戻るため、客は口の中で未来へ、皿の上は過去へと忙しい。観光案内所は「時差切符」を配布し、帰りの電車が来る前に「さっきの自分」が写真に写り込むトラブルに注意喚起した。

安全面では、理科クラブがカエルで検証したが、オタマジャクシには戻らず市民は安堵。夕暮れ、実行委員がもう一度砂時計をひっくり返し、時間は通常運転へ。来年は「早送りマラソン」の開催を予告、完走証はスタート前に配布予定だという。