雲見町、雲待ちフェスで雲来ず 代打は綿あめとため息が空を埋める

 

海と山にはさまれた風の町・雲見町で週末に開かれた「雲待ちフェス」。町の名物、空を眺めて雲の形にツッコミを入れる大会だが、今年は終日どピーカン。雲が一片も来ない「晴天中止ならぬ晴天強行」となり、会場にはため息とサングラスの海が広がった。

主催の観光協会は慌てて対策。「雲が来ないなら作ればいい」と、綿あめ職人を20人緊急招集。ドローンでふわふわを吊るし、空に甘い積雲を浮かべた。風に流され落下した分は、来場者のおやつとして回収。子どもたちは「おいしい雲だ!」と喜んだが、町長は「これは嗜好の問題ではなく気象の問題」とコメントし、なぜか拍手が起きた。

恒例の「雲に見える選手権」は、実物がないため「最も雲っぽい顔」部門に変更。優勝は町のパン屋のご主人で、表情筋だけで「ひつじ雲」「入道雲」「雲行きが怪しい」の三変化を披露。審査員長の理科教員は「科学的ではないが詩的だ」と評した。

最後は、空に向かって全員で「あー」と声を伸ばす「呼雲の儀」。結局雲は来なかったが、声はこだまして山に三回戻ってきたため、実行委は「反響率300%の大成功」と胸を張った。来年は「夜露フェス」への転換も検討中だという。