国鉄フォント保護法、駅前の喫茶店まで対象に?町内会がサボを掲げて抗議

 

昭和テイストを愛でるあまり、ついに「国鉄フォント保護法(案)」が地方議会で可決寸前となり、町内会がサボ(行先札)を掲げて抗議の臨時列車を仕立てた。といっても列車は商店街の遊具電車で、軌間はショッピングカート準拠の可変式。先頭車はクハ喫茶ミルク、動力車はモハ八百屋。車内放送はレコード針の乗る音から始まる。

法案の骨子は「駅名標や行先表示幕に紛らわしい書体を用いないこと」。対象が拡大解釈され、喫茶店のチョーク看板まで「駅名標風につき審査」となったのが火種だ。発案者は「フォントは国民の記憶レール」と主張。対する町内会は、硬券型ポイントカードをパンチする入鋏係を先頭にデモ行進した。

臨時列車は商店街の巨大鳥居をくぐるたびに通票交換を実施。タブレットは煎餅製で、受け損ねるとハトが先に食べる。発車メロディは三和音だが、八百屋が調子に乗って転調、停車中にアンコールが起きてダイヤ乱れ。第三セクターである駄菓子屋が代行バス(ローラースルーゴーゴー)を運行した。

結局、法案は「国鉄風を名乗る際は、最低一か所に油の匂い」を条件に修正。喫茶店は厨房に鉄道用グリスの缶を置き、駅長帽の猫が検査印を押している。町内会は満場一致で賛成、ただし議事録は全部スタフで管理。ページをめくるたびに発車するので、会議はいつも終点未定だ。