町内スピーカーの迷子ネコ放送、まさかのヒット曲化で商店街が踊りだす

 

海霧町の防災スピーカーが、ついに音楽番組に“地方発の新星”として紹介された。理由は迷子ネコ「タラコ」を探す放送が、妙に耳に残るメロディだったからだ。毎正時に流れる「タ〜ラコ、かえっておいで」のフレーズが子どもたちの縄跳び歌となり、気づけば商店街のBGMに正式採用。町内会は急きょ合唱隊を結成し、朝市ではコール&レスポンスが始まる始末だ。

観光客も増え、「聖地巡礼」と称してスピーカーと同じ型番の前で記念撮影。パン屋は“タラコフーガ”と名付けた細長いフランスパンを発売し、魚屋はタラコ増量セールを敢行。関係あるようなないような景気づけが町を包む。

肝心のタラコはどこに、と皆が忘れかけた頃、駅前広場の屋根で堂々の発見。町長がマイクを向けると、タラコは鳴き声で原曲を半音上げるアレンジを披露し、拍手喝采。放送は無事“卒業”したが、今度は着信音として配信が決定。町は新たな課題に直面している。「電話が鳴るたび、ネコを探しに走ってしまう」対策だ。