通過専用駅、風だけ停車へ——第三セクターが「止まらない観光」を開始

 

地方の第三セクター「峰の沢鉄道」は本日、列車が一切停車しない観光拠点「ふかせ風駅」を開業した。駅舎はあるがホームは薄く、風をよく通すために床板の隙間がわざと広い。目玉は時速15km/hで通過する列車から、車掌が竹の棒で差し出す団子を乗客がキャッチ、沿線住民は逆に手紙を吊り下げて返す“動的物交”。昭和の走り売り文化を復活させたという。

「止まらないから遅延もない。定刻に非停車します」と同社社長。安全のため、駅員は赤旗ではなく風鈴で合図する。うっかり鳴りやすく、毎時の合図はほぼ風任せだ。

地元の祖母は「止まらんのに駅ってのがええ」と満足げ。駅名標には「風だけ停車」の注意書き。記念乗車券は消しゴムはんこ製で、擦ると文字が増減する仕様。

なお、初日の混雑で団子が空を舞い、線路脇の田んぼにみたらしの小川が発生。鉄道ファンは「粘度の高い沿線風景だ」と撮り鉄史上に残る名言を残した。会社は「次は無人の“空耳駅”も検討中」と、聞こえるのに存在しない案内放送に意欲を見せている。