渋谷、来ないで選手権2025──優勝は玄関から一歩も出ない男

 

渋谷区がハロウィン期間の来街自粛を呼びかける中、全国で「どれだけ来ないか」を競う非公式イベントがひっそり開催。優勝者は東京都在住の会社員・西園寺さん(34)。玄関前に養生テープで「ここから先は渋谷」と書き、三日間の完全自宅待機を完遂した点が高く評価された。

審査員は元DJポリスの有志。現地ではなく各自のリビングで審査が行われ、評価基準は「静寂の維持」「SNSの自撮り誘惑との闘い」「冷蔵庫の混雑対策」。西園寺さんはスクランブル交差点のライブ映像をテレビで流しつつ、リモコンで青信号のたびに正座だけで横断するという高度な抑制芸を披露した。

準優勝は「玄関マットを横断歩道柄にし、誰も踏ませない」をやり通した主婦。特別賞は「家の窓から『こちらに注目しないでくださーい!』と静かに叫ぶ」新機軸を打ち出した大学生に。

主催の代表は「混まない楽しさを可視化できたのが収穫。来年は“オンライン混雑”に対して回線に並ぶ練習も検討したい」と話す。区の担当者は「来ないのに盛り上がるという難題に答えが出つつある。経済効果は各家庭の冷凍庫に蓄積中」と微笑んだ。

最後に西園寺さんは優勝コメント。「渋谷に行かないで優勝できるなら、来週は通勤にも適用したい」——それは区だけでなく、全国の心の叫びである。