乗れないのに満員御礼!幻の「待避線エクスプレス」全国デビュー
全国の鉄道ファンを混乱と歓喜で埋め尽くす新サービス「待避線エクスプレス」が、きのう華々しく発表された。コンセプトは潔いまでに単純だ。「駅に止まらない、線路にも出ない、待避線だけを味わう」。乗客は駅構内の誰にも意識されない片隅、柵越しにうっすら見える砂利と枕木を、ツアー形式で鑑賞する。
ツアーは昭和の駅弁紙紐を再現した「紙紐パス」で参加。ガイドは元信号扱所の達人で、解説の半分がビープ音と手旗の無音パフォーマンスだ。記念スタンプは油でにじむ保線庫風仕上げ、車内販売は砕石色のラムネ、目玉グッズは「ポイント切替レバー型アイス(曲げると折れる)」。
最大のハイライトは、列車が来るのに来ない瞬間を待つ「空気圧読書会」。ページをめくる音と遠くの制輪子の香りに涙する参加者が後を絶たない。時刻表には「遅延予告」を明記し、「本日は順調に遅れております」の名アナウンスも復刻。終点は当然「行き止まり」。降車は各自の胸の内で。
なお、次回新企画は珍スポット界隈との連携で、廃駅の駅名標の影だけを巡る「日陰快速」。チケットは見えませんが、売り切れです。
